攻めるは迅速に。
かつ鮮烈に。
それはあたかも炎のごとく。
― 炎神 相対す 前編 ―
「諸葛亮先生、此度の策、私に遂行させては頂けませんでしょうか?」
淡い光が降り注ぐ室の中、涼やかな声が響く。
「珍しいですね、貴方が本国を離れたがるとは」
「いえ、今回攻める地に」
「なるほど、江陵ですか。確かにあそこは思い入れ深い場所でしょう」
「思い入れというより、よく燃えそうだなと」
「は…?」
ゆらゆらと持ち手を仰いでいた羽扇が止まる。
「今回の策に火矢と虎戦車があったので、江の付近を塞げればそれはよく燃えるのではないかとそう思うんですよ。
諸葛亮先生もそう思いません?思いますよね。
策の二つに後は火炎瓶とかも持っていけたら言うことはないのですが、それは流石に経費の使いすぎになりますし…」
「わ、分かりました。それでは此度の攻略戦は貴方に一任しましょう」
声を掛けなければ延々と語り続けただろう言葉を何とか止め、諸葛亮は内心汗を拭った。
「ありがとうございます!」
「それだけの士気(?)があればいい結果も出るでしょうからね」
「必ずやご期待に沿いましょう」
「(焦土になっては意味がないのですが……)陸遜、任せましたよ」
「承知致しました!」
嬉々として退室する彼の背に、抑え切れなかったため息が零れる。
「というか一応私は君主なんですがねぇ…」
先生呼びも嫌いではないが、ちょっとどうだろうと思う諸葛亮だった。
「「「「白南瓜が攻めてくる〜〜?」」」」
「ええ、どうやら最近得た江陵を狙って動き出したようです」
急遽開かれた軍議で言われたことに驚きの声が上がる。
「何とっ!」
「抜け目ない輩よのう」
最初の衝撃が過ぎ去ればやはり自国、防衛へと向けそれぞれ意見を出してきた。
「いや、ていうか誰も白南瓜には突っ込まないの?」
「今更だろう…」
と太史慈のそんな会話を無視して話は続けられる。
「敵の勢力はどれ程なのですか?」
侵攻の報告をした関平へと君主であるが尋ねた。
「斥候の話によりますと、数は2万5千…」
「それならまだ対応出来るな」
頭の中で自軍と照らし合わせ、龍昇が頷く。
「それがそう簡単にはいかぬようで、
陸遜が軍を率いて向かっているんです」
「り、り、陸遜?!!本当かっ!?」
「確かな情報です」
以前同盟国である国が攻められ、援軍として行った龍昇が反応する。
その時の敵将が陸遜。
何とか勝利へ導き帰ってきた龍昇の服はいたるところに焦げ目がみられた。
「今回の戦、絶対に火薬禁止!」
「いや持ってないし」
アワアワと進言する龍昇にが突っ込む。
そういえばその同盟国には黄蓋が居たか。
「他に参軍する将は誰が居るんだ?」
「…朱治に何儀、楽就、後は牛金ですね」
夏侯惇の問いに残る武将の名が挙がる。
「…主だった者は陸遜だけか」
「それでも中々厳しい戦になりそうですね」
劉備とが頷く中、は拳を口に当て何かを考え込んでいた。
それに太史慈が気付く。
「どうした?」
「………………その戦、僕に任せてもらえないかな」
問いかけに答えることなく言った台詞に場が静まった。
「何か策でも…「駄目だ!!!」
関平が尋ねた声を打ち消し言うのは勿論、妹馬鹿である龍昇である。
「陸遜の相手なんてそんな危ないことさせられるわけがないだろう!まだ嫁入り前なのに火傷でも残したらどう…」
ゴスゥツ
「妹馬鹿もそこまでいくとうざいですよ、龍昇殿?」
さらっと言う関平の手には槍。顔には見慣れた黒笑顔。
「槍の一撃と“うざい”の一撃、どっちがキツかったと思う?」
「打たれ慣れてるからな…“うざい”の方だろう」
そんなと夏侯惇の会話を尻目に、関平は邪魔された問いを口にしなおす。
「何か策でもあるのですか?」
「うん。この中で僕が行くのが一番いいし、僕が行かないと成らない策だしね」
「…」
兄以上とはいかないものの(いったらやばい)、を心配している太史慈が眉を寄せて声を掛ける。
「大丈夫だよ」
「………」
その太史慈に笑顔で答えるを見つめ、関平は目を伏せた。
「殿」
「ええ、分かっています」
数瞬おかず掛けた関平の声にが頷く。
「今回の防衛戦、貴方に任せます。」
「うん、大船に乗ったつもりでいて!」
「ですが、無理はなさらぬように」
「うん!」
こうして、二国が動き出した。
05.04.21UP
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諸葛亮の国は隣接した敵国です。目下最大の敵ですね。
その部下は今のところ陸遜しか考えてないのですが、他にも顔アリ武将はいる予定です。(当たり前だ)
自軍を出し切りたかったんですが、周泰さんだけが…。無念。
それ以外はずっと書きたかった話ですので、かなりノリノリで書き上げてしまいました。お陰で前後編に…。
なるべく早くアップ致しますのでお待ち下さい!
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