空はずっとずっと広くて。
― 好きな場所 ―
「孫策様、みつけた〜!」
「おお?!…またみつかっちまったなぁ〜」
探して探して探しまくった相手は呑気にも屋根の上で昼寝を堪能していたようだ。
「が探すようになるまでは見つかることなかったんだけどな…」
「確かにいっつも変わったとこに居ますよね」
まさか一国の世継ぎがこんな危ない所に居るとは思いもしないだろう。
彼の義兄弟は別かもしれないが。
「そんなこと言ったら見つけるも変わってるってことになるぜ?」
「………変わってないですね!うん、きっと他の方も気に入る場所ですよ、ここ!!」
「……すっげぇ否定だな…」
「いやいや、本当ですって!!」
まいっか、そう言って孫策様は一度起こした上半身を屋根へと戻す。
そうして片手を上げ、『隣へ来い』と私を呼んだ。
「気に入る場所なんだろ?」
「…周瑜様への言い訳、一緒に考えて下さいね」
「おお」
壮大な自然を感じる場所。一人の人間として自分を省みれる場所。
この国に生きる人々を感じることの出来る場所。
孫策様はそういう場所が好きだった。
私もそういう場所が好きだ。
だから彼を見つけることが出来るのかもしれない。
けれど、
「こういう場所って、ほとんど孫策様に教えてもらった所ばかりなんですよね」
「あー、確かに色んなとこ連れまわしたからなぁ」
自分で自分の首を絞めてたか?なんて言って笑っている。
(………周瑜様でさえ見つけられないのに、私が見つけられるのって…)
普段より高い場所に居るからか、幾分涼しく清清しい風が髪を撫でた。
「気持ち良いな」
「はい」
もしかしたら、
見つかる所に居てくれているのかもしれない。
「気持ち良いです」
「誘って正解だったな」
そう言って笑う彼が居るから、
私はそういう場所が尚好きなのかもしれない。
空はずっとずっと広くて。
でも、隣の彼もずっとずっと広いものを持っている気がした。
05.08.12収納
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春〜夏にかけて長々と拍手をかざっていた作品です。
策兄好きが滲み出てる…(笑)。
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